盲導犬情報
盲導犬を希望される方や、すでにユーザーとして生活されている方、視覚障がい者団体や施設を対象に年2回発行される情報誌です。点字版と墨字(活字)版、音声版の3種類があります。送付ご希望の方は、下記「お問い合わせ」フォームあるいは電話(03-5367-9770)にて、ご連絡ください。
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最新号
『盲導犬情報』 第36号 ~認定NPO法人全国盲導犬施設連合会 情報誌~
今号の内容
1.加盟施設職員相互研修事業 「補助犬団体の動物福祉とは」
2.2024(令和6)年度 身体障害者補助犬育成促進事業等実施実態調査について
3.日本ライトハウス展 ~全国ロービジョンフェア2025~に参加して
4.盲導犬ユーザーのコーナー
「歩くの楽しい?」 東京都 鶴東 陽香
5.盲導犬情報ボックス
「2025年に発行された盲導犬に関する文献」
6.認定NPO法人全国盲導犬施設連合会からのお知らせ
7.編集後記
1.加盟施設職員相互研修事業 「補助犬団体の動物福祉とは」
日本国内における動物福祉への意識は、大きく変化しています。2023年にはIGDF(国際盲導犬連盟)とADI(アシスタンスドッグス・インターナショナル)による共同声明が発表され、補助犬を含む動物福祉への関心は一層高まっています。こうした流れを受け、盲導犬育成団体や関係者が理解を深める機会として、当連合会では加盟施設職員を対象に研修会「補助犬団体の動物福祉とは」を開催しました。
講師には、動物福祉や補助犬について深い研究と知見を重ねてこられた帝京科学大学の山本真理子先生をお招きし、「補助犬に関わる動物福祉の現状と実践 ~海外の実践例をふまえて~」と題したご講演を賜りました。講演では、動物福祉の基本概念、補助犬に対する日本人の意識とその背景、海外の事例など幅広い内容が取り上げられ、参加者にとって有意義な学びの場となりました。
山本先生は講演で、日本では今まで、補助犬は社会に受け入れてもらうため「優れた特別な存在」と強調するプロモーションが行われてきたこと、さらに近年でも小学校や獣医師向けの教科書に「補助犬は人に強いられて生活している」と受け取られるような記載が散見され、そのような印象を持つ人が一定数居ても不思議ではないと指摘し、こうした情報提供についても少しずつ改めていく必要があると語られました。
続けて、日本には古くから動物を本来の自然な姿のまま受け入れる文化があり、改変に対しては忌避感があることや、日本の動物愛護管理法は、「動物福祉」より「動物愛護」に重きを置いた考え方による政策であると説明されました。こうした背景から、日本では動物を主体として身体的・精神的な状態を科学的に判断・評価する動物福祉より、人を主体として感情により判断・評価が左右される動物愛護の考え方が広く根付いていること、その日本ならではの動物観が息づく中で、補助犬を伝わりやすく周知することに関して、山本先生は海外の事例や社会への発信方法を紹介され、私たちが学ぶ機会を教示してくださいました。
当連合会加盟の各盲導犬育成団体では、動物福祉をどのように理解し、実践していくかを模索しながら歩みを進めています。その歩みを止めることなく、盲導犬業界が動物福祉の模範となる活動を目指しています。「盲導犬団体の取り組みなら安心できる」と社会の皆さまに感じていただけるよう、今後も当連合会は、各加盟団体の動物福祉への取り組みを全面的に支えてまいります。
2.2024(令和6)年度 身体障害者補助犬育成促進事業等実施実態調査について
特定非営利活動法人 日本補助犬情報センターでは、都道府県・政令指定都市・中核市に、毎年、身体障害者補助犬育成促進事業等実施実態調査を行い、その結果を調査報告書にまとめています。今回は2024(令和6)年度の調査報告書の概要をご紹介します。
注:この報告書で出している値は、四捨五入による計算の丸め誤差が存在するため、値の合計は100%にならないことがあります。
■2024(令和6)年度補助犬育成促進事業実施実態調査の結果
(1)補助犬育成促進事業の実施状況
盲導犬:86%が実施
介助犬:9%が実施
聴導犬:9%が実施
(2)盲導犬育成促進事業実施頭数と1頭あたりの助成金額
北海道 2(1,800,000円)
青森県 0
岩手県 1(1,500,000円)
宮城県 2(無記入)
秋田県 1(1,890,000円)
山形県 0
福島県 1(1,500,000円)
茨城県 3(2,022,000円)
栃木県 1(1,600,000円)
群馬県 2(1,782,000円)
埼玉県 2(1,984,500円)
千葉県 1(1,984,500円)
東京都 未回答
神奈川県 5(1,986,800円)
新潟県 2(1,800,000円)
富山県 2(600,000円)
石川県 2(1,890,000円)
福井県 0
山梨県 1(1,500,000円)
長野県 2(1,980,000円)
岐阜県 1(1,500,000円)
静岡県 5(1,984,500円)
愛知県 3(1,500,000円)
三重県 1(1,650,000円)
滋賀県 2(1,500,000円)
京都府 未回答
大阪府 2(1,661,000円)
兵庫県 2(1,890,000円)
奈良県 1(1,890,000円)
和歌山県 0
鳥取県 1(1,980,000円)
島根県 1(1,980,000円)
岡山県 未回答
広島県 3(1,980,000円)
山口県 2(1,500,000円)
徳島県 1(1,980,000円)
香川県 1(1,980,000円)
愛媛県 1(1,980,000円)
高知県 1(2,079,000円)
福岡県 2(1,500,000円)
佐賀県 未回答
長崎県 0
熊本県 1(1,200,000円)
大分県 1(1,890,000円)
宮崎県 1(2,045,000円)
鹿児島県 0
沖縄県 1(2,038,000円)
(3) 都道府県における補助犬育成促進事業の助成金交付先
・盲導犬
希望者が選んだ訓練事業者:70%
指定する団体:2%
委託する団体:23%
回答なし:5%
・介助犬
希望者が選んだ訓練事業者:70%
指定する団体:2%
委託する団体:14%
回答なし:14%
・聴導犬
希望者が選んだ訓練事業者:70%
指定する団体:2%
委託する団体:14%
回答なし:14%
■補助犬に関する助成施策等の実施状況
(1)都道府県
①補助犬の健康管理費(予防接種、医療費など)
埼玉県:補助犬の健康管理費及び疾病等の治療に必要な経費を、補助犬を使用する身体障害者に助成する。
石川県:県内の補助犬ユーザー団体に基金を設立し、助成対象費用計の半額を対象に、1頭当たり年間11,000 円を上限に助成
福井県:身体障害者補助犬の衛生管理に必要な処置を県獣医師会に委託
長野県:県動物愛護センターにおいて、補助犬の健康診断(身体検査、血液検査、糞便検査、尿検査、爪切り等)を無料で行っている。(ドッグドック事業)
滋賀県:補助犬の健康管理費の助成
和歌山県:狂犬病予防接種
鳥取県:身体障害者補助犬法第22条に規定する衛生の確保に係る予防接種費用の助成を行っている。
島根県:県内の補助犬使用者を対象に、一律4万円を助成する。補助犬の医療費、飼料代等健康管理や衛生管理に不可欠な経費を助成対象とする。
香川県:補助犬を使用する者に対して、厚生労働省が作成した「身体障害者補助犬の衛生確保のための健康管理ガイドライン」に定められているものを対象に、年間1回、1人につき20,000円を限度として助成する。
(2)政令市・中核市
①補助犬の健康管理費(予防接種、医療費など)
横浜市:身体障害者補助犬定期検診等助成事業(補助犬の定期検診、疾病にかかる診療費を助成)
新潟市:登録手数料、狂犬病予防注射済票交付手数料、鑑札の再交付手数料、狂犬病予防注射済票再交付手数料(R6年度は、狂犬病予防注射済票交付手数料@550円×盲導犬13件)
名古屋市:身体障害者手帳1級から3級の方で、日常生活補助のために使用する補助犬及び盲導犬として育成している犬に係る次の手数料の免除 登録申請手数料(3,000円)、狂犬病予防注射済票交付手数料(550円)、鑑札の再交付手数料(1,600円)及び狂犬病予防注射済票再交付手数料(340円)
広島市:低所得のため、補助犬の養育に要する費用の負担が困難な者に対して、健康管理費としてその一部を支給する。
いわき市:予防接種費用の助成(実施主体:福島県獣医師会)
船橋市:狂犬病予防注射済票の交付に係る手数料の免除
富山市:狂犬病予防接種済票交付手数料(550円)及び犬の登録手数料(3,000円)の免除
岐阜市:身体障害者補助犬の狂犬病予防接種にかかる注射済み票交付手数料の免除
尼崎市:狂犬病予防法に基づく予防注射済票、交付手数料の減免(R7年度は、5頭(1頭550円)
福山市:狂犬病予防法に基づく犬の登録手数料及び注射済票交付手数料減免
呉市:市内居住する、補助犬を使用し、かつ養育する者を対象に、補助犬の健康管理に要する費用の一部を給付する。
②飼育のための必要経費(餌など)
仙台市:飼料代を年間 42,000 円まで補助。
名古屋市:身体障害者補助犬飼育費補助事業(4,900 円/月)
岡山市:身体障害者補助犬の飼育に要した経費
長野市:補助犬の飼育費(月額3,000 円)
岐阜市:身体障害者補助犬の飼育のために必要な経費の一部を助成する。
豊橋市:犬登録手数料減免(登録手数料3,000円)及び狂犬病予防接種済票手数料減免(550円) R5実績は登録0、注射済票3件
倉敷市:在宅で、身体障がい者手帳を所持し① ~③ のいずれかに該当する方
① 視覚障がいの程度が1 級で、盲導犬を現に使用し、飼育している方
② 肢体不自由の程度が1~2 級で、介助犬を現に使用し、飼育している方
③ 聴覚障がいの程度が2 級で、聴導犬を現に使用し、飼育している方
下関市:「下関市身体障害者補助犬飼育費助成事業」…下関市内に住所を有する身体障害者で(市が定めた要綱に基づき)該当する補助犬利用者へ飼育費の一部を助成するもの。60,000円支給(月額5,000円)(R6年度・4名)
③その他
相模原市:手数料の免除・犬の登録・犬の狂犬病予防注射済票の交付
富山市:身体障害者補助犬の貸与を受けた者に、貸与に際して発生した自己負担額の一部(2分の1、上限5万円)を補助
長野市:補助犬訓練交通費給付(本人・付添人)
■補助犬に関する相談・苦情等の受付の有無
(1)都道府県
①相談・苦情等
・盲導犬:あった 63%, なかった 35%, 回答なし 2%
・介助犬:あった 14%, なかった 81%, 回答なし 5%
・聴導犬:あった 9%, なかった 86%, 回答なし 5%
②盲導犬に関する問い合わせの項目と相談者について
・訓練事業者関連(補助犬使用者4,補助犬希望者27、訓練事業者1)
・資料請求(訓練事業者1、受入れ事業者11、一般市民2、その他6)
・その他問い合わせ(補助犬使用者3、補助犬希望者3、受入れ事業者1、 一般市民3、その他6)
・同伴拒否関連(補助犬使用者36、障害者家族1、訓練事業者10、受入れ事業者6、一般市民1、その他2)
・その他の苦情(一般市民1)
(2)政令市・中核市
①相談・苦情等
・盲導犬:あった 33%, なかった 61%, 回答なし 5%
・介助犬:あった 9%, なかった 84%, 回答なし 7%
・聴導犬:あった 9%, なかった 84%, 回答なし 7%
②盲導犬に関する問い合わせの項目と相談者について
・訓練事業者関連(補助犬希望者1)
・資料請求(補助犬使用者2、受入れ事業者1)
・その他問い合わせ(補助犬使用者11、補助犬希望者1、受入れ事業者1、一般市民4、その他2)
・同伴拒否関連(補助犬使用者20、訓練事業者3、受入れ事業者2、その他2)
・その他の苦情(一般市民1)
*2月2日現在、未回答の自治体については回答待ちです。
報告書の詳細は、後日、日本補助犬情報センターのホームページにアップされ、PDFファイルでダウンロードできる予定です。
3.日本ライトハウス展 ~全国ロービジョンフェア2025~に参加して
西日本では、最大規模となる視覚障害者向けイベント「全国ロービジョンフェア2025」が開催されました。
毎年、日本ライトハウスが主催する視覚障害支援機器展示会で、近畿地方にお住まいの方には馴染みのある内容かもしれませんが、日常生活を便利にするさまざまな用具や、最先端の技術を利用した機器がずらりと展示されていましたので、改めて参加レポートとして皆さまにご報告をします。
今回は11月21日と22日の2日間にわたり開催されました。会場となるOMMビルは、大阪メトロ谷町線もしくは京阪本線の「天満橋」駅から歩いてすぐと、非常にアクセスの良い場所です。エスカレーターを昇り、会場につくとずらりと並ぶ出展企業のブース。今年は全部で45社・団体もの参加があり、会場は大いに賑わっていました。さらに、大阪府立の盲学校2校によるあん摩・マッサージの体験コーナーや、白杖についての基本講演、落語ライブといった企画もあり、多彩なプログラムが用意されていました。さて、数ある出展ブースの中から、イベントの様子をピックアップしてご紹介します。
・スマートウォーク(ダイハツ)
カメラと画像認識技術を活用した肩掛け式の歩行安全支援機器。人、自転車、自動車、工事コーンなど8つの障害物と2種の点字ブロックを、近づくと音声で知らせます。首からかけて白杖歩行を支援する機器で、4m先の障害物を知ることができます。例えば、工事コーンに近づくと「コーン、コーン」と音声が流れ、離れると音声が止まります。現在は試作開発中の段階ですが、実用化に向けて精力的に開発が進められています。ちなみに、ダイハツのご担当者によると、「トラックや人、工事コーンなど形が決まっているものは認識できるが、『空中から飛び出た枝』など、形の特定が難しいものは現段階では認識できない」とのことでした。
・Eye Navi(アイナビ)(コンピューターサイエンス研究所)
道案内と障害物検出、歩行レコーダー機能備えた歩行支援アプリ。無償利用可能(一部有償機能あり)です。歩行者信号の色なども、アプリを起動したスマホを近づけると「赤(青)」と読み上げます。盲導犬歩行との組み合わせで、既にご利用されていらっしゃる方も多いかもしれませんね。ブースではアプリの紹介と併せ、Eye Naviを利用する際の専用ポーチも展示されていました。
・日本ライトハウス盲導犬訓練所
希望者へ盲導犬との体験歩行を受け付けていました。ブース担当者によると、初日の体験歩行者は9名。毎年盲導犬と会えることを楽しみに来る人もいるのだとか。盲導犬との歩行を体験した方からは「歩くスピードが速い」と驚きの声があがります。さらには歩行だけではなく、実際に犬の大きさや温もりを感じ、熱心に盲導犬について質問を投げかける方もいらっしゃるそうです。盲導犬に興味があるけれど、まだよくわからない・・・そんな方が気軽に立ち寄って、盲導犬について話を聞き、歩行体験できるブースでした。
一方、初日の午後の特別ステージでは「今さら聞けない『キホン』のキ 白杖の基礎から電車の乗り降りまで」と題した講演に、多くの聴講者が集まりました。日本ライトハウス視覚障害リハビリテーションセンター職員が講師となり、白杖を持つ意味や役割が、笑いを交えた楽しいトークで紹介されました。
真剣に耳を傾ける聴講者の姿に、白杖に対して「改めて理解を深めたい」と考える方が、思った以上に多いことを実感しました。
ご紹介した以外にも、Eye Naviと連携可能なヘッドホンや、非接触型の体温計と、その体温計で測定された体温をすぐに読み上げるアプリ、前後裏表がなくどんなふうに着ても正解になる洋服など、多彩な製品が並んでおり、どのブースも多くの人で賑わっていました。また、日本ライトハウス情報文化センター「エンジョイ!グッズサロン」はさまざまな便利グッズを展示・販売しており、多くの方が足を止める姿に、主催のブースへの注目度の高さを感じました。
全国ロービジョンフェアは次回、2026年8月21日(金)~8月22日(土)にOMMビルで開催が予定されています。
ご興味のある方はぜひ、次回参加されてみてはいかがでしょうか。
皆さまの暮らしに寄り添う製品が見つかるかもしれません。
なお、主催者によると次回は8月の開催となりますが、その次はまた、例年通りの11月~12月頃の開催に戻したいとのことですので、こちらも楽しみにお待ちいただければと思います。
最後に、本イベントの主催者情報を掲載いたします。
・主催:社会福祉法人 日本ライトハウス
・共催:社会福祉法人 読売光と愛の事業団
4.盲導犬ユーザーのコーナー 「歩くの楽しい?」 東京都 鶴東 陽香(つるひがし はるか)
「歩くの楽しい?」
それは今から6年ほど前の春頃、初めてのパートナーのフェリシアとの歩行で行き詰まっていたときにかけられた言葉だった。
フェリシアはイエローラブの女の子。感受性豊かで素直な性格。賢く意志が強く何事にもめげずに工夫を凝らすようなアクティブな子である。
その頃の私は、基本通り歩くこと・褒めること・間違った時は正すことを意識して、フェリシアがハーネスを通して伝えてくる感情や思考を受け取ることが後回しになっていた。その緊張感がフェリシアに連動してうまく歩けなかったのだろう。楽しくなければ仕事もストライキしたくなるという当たり前のことに今さらながら気づかされ、反省したのをよく覚えている。
それから私は、「たくさん観察しよう、感じよう、知ろう、全感覚と神経を使ってフェリシアが感じていることや考えていることを汲み取りながら、慣れて一緒に楽しく歩けるように模索していこう」と心に決めて早速実行した。すると、発見や感心することや気づきがたくさん見つかり、毎日が驚くほど楽しくなり、世界が色づいていった。
現在のパートナーはウィン。昨年の秋、ペアになってから1年以上が経つ。
ウィンは黒ラブの女の子。クールビューティーでオンオフがしっかりしている性格。賢く順応力が高い。落ち着いて慎重に丁寧に最後までやり通す忠実な子である。
最初は私がどんなところを歩きたいか、ウィンに見せて慣れていってもらうところから始めていった。しょっちゅう寄りみちするショッピングモールをはじめ、新宿や池袋、ちょっと隣の県までショッピング、たまには自然の中をぶらぶらしながらリフレッシュ等々。ウィンはふわっと振り返りながら「これでいいですか?」、「どうしますか?」等、しぐさで話しかけてくれる。そのたび、「人がいっぱいだねえ、進んでみようか」、「あってるよ、大丈夫、このまま行こうね」、「避けてみて」、「あってるよ、もう少し近づいてみて」等話しかけ続けてきた。すると、だんだんと慣れていって今ではすっかり東京になじんでいる。現在は、人混みの中でも動きを見極めながら人やものを避けつつ目的物を探し出し、横切ろうとする人の手前で、ピタッと止まって危険を知らせてくれる。勢いよく走ってくる人や自転車を上手に避け、探し物があれば顔がくっつくほど近づいて教えてくれる。電車に乗った瞬間、空いている席へ大きく尻尾を振りながら、座席の上に顔を乗せて教えてくれる姿は、とても頼もしい。
驚くほど私の感情に左右されずに、淡々と穏やかに歩くすがたはウィンの特徴だと感じている。そうすると、たとえ不安なことや慌てるようなことがあっても、一呼吸おいて過ごせるところもまた魅力だと思う。慌ただしい都会の中でも、日々が穏やかに過ぎていくことを常に感じられる。ウィンは本当に頼りになる相棒だ。
落ち着いたらフェリシアと行った場所もあちこち巡っていきたいところである。
かつて白杖を使用して歩いていた頃は、この時のように心から喜んだり驚いたり、感心したり楽しんだりしながら、独り歩きしていなかったように思う。盲導犬と歩いていると見えないことを忘れる。それもそのはず、横に生きたふわふわのかわいらしい眼が寄り添ってくれるのだから。
フェリシアは現役時代、そしてウィンは現在、いろんな場所で色んな景色を五感で見せてくれている。時に無茶苦茶な私に対しても、二頭とも本当に一生懸命、そして何より楽しそうにお仕事をしてくれている。そのことがただただ心から嬉しい。
ハーネスを通して会話を交わし、安全に、そして楽しく歩けている今があるのは、愛情を注ぎ育ててくださったブリーディングウォーカーさんやパピーウォーカーさん、そして協会の職員さんなど関わってくださった全ての方々がバトンを繋いでくださったからこそだ。その感謝は、言葉では表しきれない。
これからもきっと毎日心の中で問い続けるだろう。「歩くの楽しい?」、「お仕事楽しい?」って。また伝え続けるだろう。「グーッド ありがとね」って。
5.盲導犬情報ボックス「2025年に発行された盲導犬に関する文献」
2025年1月から12月の間に発行された書籍の中で、盲導犬に関する記述があるものをご紹介します。
【ノンフィクション】
・『盲導犬シエルと歩いた幸せの道―左手にハーネス、右手に夢。2歳と62歳、2人暮らし始めました。』
西亀(にしかめ)真(まこと)【著】ごま書房新社<点字データ着手・音声デイジー着手・テキストデイジー着手>
【エッセイ】
・『文芸社セレクション 盲導犬訓練士河西光(かわにしひかる)-サーブを育てた訓練士-』
長谷島(はせじま)妙子(たえこ)【著】文芸社<点字データ・音声デイジー>
【児童書】
・『盲導犬大百科〈1〉盲導犬ってどんな犬?』
日本盲導犬協会【監修】ポプラ社<点字データ着手・テキストデイジー・マルチメディアデイジー>
・『盲導犬大百科〈2〉見えないわたしと盲導犬』
日本盲導犬協会【監修】ポプラ社<点字データ着手・マルチメディアデイジー>
・『盲導犬大百科〈3〉教えて!盲導犬Q&A』
日本盲導犬協会【監修】ポプラ社<点字データ着手・マルチメディアデイジー>
6.認定NPO法人全国盲導犬施設連合会からのお知らせ
(1)2025年度資格認定事業の実施状況
全国盲導犬施設連合会では、盲導犬希望者がどこの施設から盲導犬の貸与を受けても、ほぼ一定水準の盲導犬や歩行指導などのサービス提供が得られるように、盲導犬を育成する「盲導犬訓練士」と、盲導犬希望者へ盲導犬との歩行や毎日の世話の方法を指導する「盲導犬歩行指導員」の資格の認定事業を加盟施設の協力の下に2007年度より行っております。2025年度は、学科目・実技試験を行った結果、5名の盲導犬訓練士、2名の盲導犬歩行指導員の資格認定を行いました。
(2)2026年度の『デュエット』とポスターについて
全国盲導犬施設連合会では盲導犬普及活動として、毎年『デュエット』という広報冊子とポスターを作成・発行しています。
2026年度の『デュエット』では、盲導犬協会における「動物福祉への取り組み」を特集テーマに掲げ、その具体的な取り組み内容を中心に紹介しています。表紙はハーネスをつけた3頭の犬が芝生の上で座っている写真を使用しました。
2026年度のポスターも、『デュエット』表紙と同じ写真を使用しています。
ポスターのキャッチコピーは「やさしさとともに歩む 安心の未来へ」です。文字はピンク色を使い、優しいイメージで作成しました。写真の下には次のような文章が書いてあります。
「全国盲導犬施設連合会に加盟する盲導犬協会は犬たちが健やかに過ごせる育成・訓練環境づくりに取り組み人と犬がともに安心して歩める未来を目指しています」
「盲導犬同伴は身体障害者補助犬法で認められています。皆様のご理解・ご協力をお願いします。」
『デュエット』は、全国盲導犬施設連合会の募金箱を置いてくださっているスーパーなどで無料にて配布しています。置いてあるお店が近くにない場合は、連合会事務局(電話:03-5367-9770)にお問い合わせください。また、『デュエット』は、当連合会のホームページでも見ることができます。
7.編集後記
全国ロービジョンフェアへ向かうため新幹線で新大阪駅まで乗車したところ、乗り物酔いをしてしまいました。そこで帰りは「とにかく寝る」作戦を採用。せっかく久しぶりの新幹線でしたが、ぐっすり眠ったおかげで無事に品川駅まで戻ることができました。
『盲導犬情報』 第36号 ~認定NPO法人全国盲導犬施設連合会 情報誌~
■発行責任者 井上 幸彦
■編集責任者 篠田 林歌
■編集 認定NPO法人全国盲導犬施設連合会事務局
〒162-0065 東京都新宿区住吉町5-1吉村ビル2階
電話:03(5367)9770 FAX:03(5367)9771
https://www.gd-rengokai.jp/
E-mail:gd_rengokai★peach.ocn.ne.jp
(★を@に換えて送信してください)
■発行 認定NPO法人全国盲導犬施設連合会
【加盟団体】(公財)北海道盲導犬協会 (公財)東日本盲導犬協会 (公財)日本盲導犬協会 (社福)中部盲導犬協会 (公財)関西盲導犬協会 (社福)日本ライトハウス (社福)兵庫盲導犬協会 (公財)九州盲導犬協会
■協力 社会福祉法人 日本盲人社会福祉施設協議会
NPO法人 日本補助犬情報センター
■発行日 2026年3月31日

