『盲導犬情報』 第23号 〜認定NPO法人全国盲導犬施設連合会 情報誌〜

盲導犬情報 第23号


今号の内容

  1. 改正動物愛護法が成立しました
  2. 来る2020!東京パラリンピック競技体験に行ってきました
  3. 平成29年度(2017年度) 身体障害者補助犬育成促進事業等実施実態調査結果
  4. 盲導犬ユーザーのコーナー    『ウィードとの出会い』  北海道札幌市 表谷光剛 盲導犬ウィード
  5.  
  6. 盲導犬情報ボックス
  7. 日本の補助犬実働数
  8. 編集後記


1. 改正動物愛護法が成立しました

 犬や猫などの遺棄、虐待を防止することを目的として、改正動物愛護法が成立しました。

 盲導犬はペットではありませんが、ユーザーの家ではハーネスを外し、家庭犬と同じように過ごしています。

 「人と動物が共に暮らすこと」を社会がどのように捉えているのか、今一度、把握するためにも本法改正の主なポイントを3つご紹介します。

仝でへのマイクロチップ装着が義務化

 改正された法の施行後3年以内に、犬猫の繁殖業者等へのマイクロチップの装着・登録が義務化されます。飼い主が特定できるので、災害時に迷子になったペットを探し出したり、むやみにペットを捨てるのを防ぐ効果が期待できます。
ちなみに、盲導犬には既にマイクロチップが装着されています。

∪幻56日を経過しない犬や猫の販売を制限

 法施行から2年以内には、ペットショップが子犬や子猫を販売できる時期が生後57日からになります。ただし天然記念物に指定される日本犬は、繁殖業者が直接一般の飼い主に販売する場合は、例外として生後7週超となります。

F以虐待に罰則の強化

 ペットへの虐待などへの対応として、殺傷に対する罰則は5年以下の懲役または500万円以下の罰金に引き上げ。そして遺棄や虐待をした場合は、罰則に1年以下の懲役も加えられました。

 

 今回の改正は、動物たちの命をこれまで以上に大切にし、かけがえのないパートナー・家族として捉えていくことを、社会が望んだ結果といえます。

 改正動物愛護法を契機として、人と動物がともに暮らす優しい社会へ繋げていくために、皆で法律を理解し、守っていきましょう。

2. 来る2020!東京パラリンピック競技体験に行ってきました

 いよいよ、東京オリンピック・パラリンピックまであと1年。皆様は東京オリパラを競技会場で観戦しますか?それともご自宅のテレビでゆっくり観戦されるのでしょうか。中にはボランティアとして関わる、という方もいらっしゃるかもしれませんね。

 現在、全国各地では東京2020へ向けたさまざまなイベントが行われていますが、8月24日、東京都の「墨田区総合体育館」にて、パラリンピックで実施される競技の体験ができるイベント、その名も「パラリンピック1年前スペシャル!TOKYO2020Let’55」があるとの情報をキャッチしたので、早速筆者が行ってきました。

 たくさんの競技の中から、視覚障害者の選手を対象とした「タンデム自転車」と「ゴールボール」、2つの競技の体験レポートを皆様へお届けします。

 「東京2020大会」を目前に控えた特別企画として、ご一読いただければ嬉しいです。

 

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 タンデム自転車は、前に健常の選手、後ろに視覚障害者の選手で2人乗りする自転車競技です。
体験会では、後ろの視覚障害者選手役を体験することができました。
前の選手をパイロット、後ろの選手はストーカーと呼ばれます。ちなみにストーカーは機関車に石炭をくべる人を意味します。
後ろの選手はペダルをこいで自転車にパワーを与えるのが役目ですが、今回は体験でしたので、筆者自身はペダルに足を添え、前の選手の動きを邪魔しない程度に漕いでいました。それでも、自転車のペダルは前後で連動して動くので、前の選手と息を合わせないとスムーズに走れません。そしてカーブに差し掛かった時には自転車本体が傾くので、転倒しそうなスリルを味わいました。もちろん実際には転倒しませんのでご安心を。
一方で、グラウンドを駆け抜けるスピードと爽快感は1人で自転車に乗っている時には体感できない感覚で、怖いながらも「もっともっと乗っていたい」という気持ちになりました。そして2人乗りなのに、前の選手と自分、そして自転車までもがひとつになっているような、不思議な感覚を味わいながらあっという間に終了しました。

 タンデム自転車競技の面白さは、スリルとスピード感、2人の選手の一体感と言えるのかもしれません。

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 選手全員が目隠しの状態で、鈴の入ったボールを相手のゴールに投げ入れることで得点する競技です。使用するコートはバレーボールと同じ大きさで、両端にサッカーに似たゴールがあります。筆者はちょうど、ゴールボール選手から直接レクチャーを受けられる時間帯で参加できました。
ゴールボールで使用するボールは非常に重く、投げると「シャンシャン」と鈴が鳴ります。鈴の音でボールの位置を把握するので、攻撃側は出来るだけボールの出どころの音を悟られないように、一方、守備側は聞こえてくる鈴の音や攻撃側の選手の足音を頼りに、ボールの軌道を把握し、身体を横たえてゴールを守ります。
体験会ではボールの投げ方や守る時の身体の使い方を、選手に教えてもらいながら、キャッチボールの要領で攻守を体験しましたが、まず投げるにも、ボールが重いので素人の筆者は上手く投げられませんでした。大きさもバスケットボールと同じ位ですので、体験に参加していた子どもたちは片手では投げられない様子でした。
守備側は、感覚を研ぎ澄ませないと、鈴の音のする方へ身体を動かせません。また、たとえ音が聞こえていても、すぐに身体を反応させる俊敏性がないと、自分の横をボールがコロコロ転がっていき、そのままゴール、得点となってしまいます。
つまりゴールボールは、選手同士がボールの鈴の音や足音を察知する、気配を消すことはもちろんですが、わざと音を立てて相手を騙し、ボールの軌道を悟らせないようにする駆け引きも必要になる競技です。観戦側も、選手たちの作戦を楽しめるスポーツですね。
ちなみにゴールボール体験の最後は、選手1人が守備、体験者は1人ずつ攻撃側でサッカーのPK戦のようなかたちで1体1でゴールを挑みました。筆者も必死にボールを投げましたが、残念ながらやすやすと選手にキャッチされたところで、体験は終了しました。

 パラリンピック競技は実際に体験すると想像以上に面白く、参加者も小さなお子様からその親御さん、そしてカップルなどさまざまでしたが、年齢も性別も関係なく、全員が楽しんでいました。東京2020大会に向けて、日本はこれからますますの盛り上がりを見せていきそうです。

3.平成29年度(2017年度) 身体障害者補助犬育成促進事業等実施実態調査結果

 特定非営利活動法人 日本補助犬情報センターでは、都道府県・政令指定都市・中核市に、毎年、身体障害者補助犬育成促進事業等実施実態調査を行い、その結果を「平成29年度(2017年度) 身体障害者補助犬育成促進事業等実施実態調査結果」にまとめています。
今回はその調査報告書の概要をご紹介します。

 

はじめに
平成29年度補助犬育成促進事業実施実態調査の結果

(1)平成29年度 補助犬育成促進事業の実施について
(2)都道府県別の盲導犬育成促進事業実施頭数と1頭あたりの助成金額
(3)都道府県における補助犬育成促進事業の助成金交付先

次に
補助犬に関する助成施策等の実施状況

(1)都道府県
埼玉県:
身体障害者補助犬健康管理費助成事業
石川県:
盲導犬の医療費用の補助(県内のユーザー団体に基金を設立)
福井県:
身体障害者補助犬衛生管理事業(健康診断3 回、狂犬病予防接種、混合ワクチン接種、犬フィラリア病抗原検査、犬フィラリア病予防薬などの衛生管理に必要な処置を県獣医師会に委託)
長野県:
県動物愛護センター、獣医師により補助犬(盲導犬中心)の健康診断(ドッグ・ドック事業)を実施している。
鳥取県:
予防接種代助成
島根県:
「身体障がい者補助犬健康管理費助成事業」 補助犬使用者が補助犬に獣医師による健康診断、予防接種および、そのほかの疾病予防措置等を受けさせた場合にその費用を助成
香川県:
身体障害者補助犬健康管理費等(健康診断及び予防接種等健康管理上の措置等に係る経費)の助成(上限 2 万)
(2)政令指定都市
仙台市:
仙台市身体障害者補助犬使用給付事業
横浜市:
身体障害者補助犬定期健診等事業(補助犬医療証を発行し、市獣医師会所属の施設で定期健診、疾病にかかる診療を受けた場合の費用を市が負担)
名古屋市:
身体障害者補助犬飼育費補助事業(4,800 円/月)
身体障害者手帳1 級から 3 級の方で、日常生活補助のために使用する補助犬及び盲導犬として育成している犬に係る次の手数料の免除・登録申請手数料(3,000 円)、狂犬病予防注射済票交付手数料(550 円)、鑑札の再交付手数料(1,600 円)及び狂犬病予防注射済票再交付手数料(340 円)
神戸市:
補助犬健康管理費の支給(所得制限有)
登録申請手数料の減免(全額免除)
狂犬病予防注射済票交付手数料の減免(全額免除)
岡山市:
補助犬を現に使用している者に対し、飼育に要した経費の一部を助成する
広島市:
身体障害者補助犬健康管理費支給事業・身体障害者補助犬を使用・養育している者のうち、低所得のため、補助犬の養育に要する費用の負担が困難なものに対して、その一部を支給し、補助犬の適正な管理を行わせる。
(3)中核市 
宇都宮市:
補助犬導入等補助金(補助犬ユーザーに対し、管理経費の一部を補助)(補助犬導入時に 10 万円,導入の次年度から年 2 万円を 5 年間)
身体障がい者補助犬育成支援事業(補助犬ユーザーと無償貸与契約を交わし補助犬使用の利用に供した育成団体に対し、上限 20 万円を補助)
越谷市:
登録手数料の免除、狂犬病予防注射済票交付手数料の免除、犬の鑑札の再交付手数料の免除、狂犬病予防注射済票再交付手数料の免除
船橋市:
犬の登録手数料、狂犬病予防注射済票の交付手数料、犬の鑑札の再交付手数料、狂犬病予防注射済票の再交付手数料の免除(※対象は盲導犬のみ)
長野市:
訓練交通費援護金:県より補助犬の給付対象になった方(候補者含む)が身体障害者補助犬を使用する訓練を受ける場合の交通費の援助として援護金を支給している。
飼育費援護金:県より補助犬の給付対象になった方が身体障害者補助犬を飼育する場合の飼育費の援助として援護金を支給している。1頭あたり月額 3,000 円
岐阜市:
盲導犬、介助犬、聴導犬を利用する障がい者に対し、飼育のために必要な経費の一部を助成
狂犬病予防注射済票交付手数料の免除
豊田市:
狂犬病予防接種注射済票交付手数料の免除
犬の鑑札の再交付手数料の免除
狂犬病予防接種注射済票再交付手数料の免除
姫路市:
1ヶ月5,000 円の健康管理費を支給 (所得税非課税世帯)  *所得税課税世帯は4,000円/月  *平成29 年度該当:1件 5000円× 12ヵ月= 60,000円
尼崎市:
犬登録手数料の免除
狂犬病予防注射済票交付手数料の免除
奈良市:
狂犬病予防注射済票交付手数料の免除(550円)
狂犬病予防注射済票の再交付手数料の免除(340円)
犬の鑑札の再交付手数料の免除(1600 円)
福山市:
補助犬の登録(3000 円)、狂犬病予防注射(2750円)、狂犬病予防注射済票の交付(550 円)、鑑札の再交付(1600円)、狂犬病予防注射済票の再交付手数料(340 円)の免除
倉敷市:
在宅の方で、身体障害者手帳1 級の視覚障がい者で、安全確保のために盲導犬の飼育を必要とする方に経費の一部を助成 。

そして
補助犬に関する相談・苦情等の受付の有無

(1)都道府県

(2)政令指定都市・中核市
以上です。

4.盲導犬ユーザーのコーナー

『ウィードとの出会い』

 北海道札幌市 表谷光剛 盲導犬ウィード 

 平成27年6月に、私は盲導犬ウィードと出会いました。「初めまして、こんにちは。ウィード。今日からよろしく頼むね」の声がけに、ウィードはシッポをブンブン振りながら、私の胸に飛び込んできてくれました。その後、北海道盲導犬協会で3週間の入所訓練が始まります。私においては、初めての盲導犬歩行と生活が始まりました。期待に胸を膨らませながら、毎日がとても速く経過した事を思い出します。以前に、一日体験セミナーで盲導犬との歩行は体験していましたが、改めて訓練を重ねる事で盲導犬の素晴らしさを実感していきました。3週間の入所訓練と、自宅に戻ってからの訓練はあっという間に経過しました。

 いよいよ、北海道盲導犬協会を離れて、ウィードとの歩行と生活が始まりました。当初は不安がたくさんありましたが、毎日の歩行と生活を重ねていく上で、少しずつ距離が縮まっていったと思います。

 やがて秋を迎え北海道の冬が到来します。この年の初雪は例年になく早く、なんと一日で30cm程度の積雪となりました。朝一番で訓練士の田中さんより連絡が来ました。「初雪はウィードも喜ぶと思います。しっかりコントロールと声がけをしながら歩行してくださいね」とのアドバイスでした。そうです。私が盲導犬と一緒になりたいと感じたのは、雪道を安全に歩行したいと思ったことが一番の要因です。初めての雪道歩行は、不安をたくさん感じながらの出発となりました。しかし、ウィードはとても力強く誘導してくれて、職場まで迷わずに行けたのを思い出します。北海道の冬は長いです。毎日、除雪車による除雪作業があるため、交差点の歩道前は雪山となります。人により踏み固められた入り口が毎日変わる訳です。そのため、以前の白杖歩行では毎日この入り口を探すのに時間が費やされて、最終的には迷っていました。しかし、ウィードは確実にその入り口に誘導してくれます。何とも頼もしい私の相棒です。ハーネスから伝わる動きを感じる大切さ、ウィードを信頼して歩行する大切さを感じる初年度となりました。

 早いもので、ウィードと出会ってから今年で5年目に入りました。日々、力強く歩いてくれるウィード、特に階段では私を気遣ってくれます。私の方を見ながら「お父さん、このスピードで大丈夫?」と確認しながら歩いてくれる様は、本当に愛しいものです。視力を失い、一度は下を向いてしか歩けなくなりましたが、ウィードと出会えたことで笑顔で胸を張りしっかり前を向いて歩けるようになりました。これからも、色々なところを一緒に楽しく歩こうね。いつも私の隣に寄り添ってくれるウィード。頼もしい私の相棒。今後もよろしくね。ウィード。

5.盲導犬情報ボックス

○都道府県別 日本の補助犬実働数

 現在の日本の補助犬実働数は次のようになりました。

 盲導犬実働数928頭に、1頭の盲導犬を夫婦二人で使用するタンデム方式の盲導犬使用者21組を加え、盲導犬使用者数を算出してみると、日本国内で盲導犬を使用している視覚障害者の方は 949人です。
*この数字には、連合会に加盟していない育成団体の数字が含まれています。
なお、タンデムの盲導犬使用者を地域別にみると、都道府県別では、広島県に4組、兵庫県に3組、大阪府・和歌山県・鹿児島県に各2組の他、東京都、長野県、愛知県、滋賀県、島根県、岡山県、山口県、福岡県に各1組おられます。
国内の指定法人が1年間に育成した盲導犬の頭数は 130頭。うち新規の使用者のパートナーとなった盲導犬は46頭、代替えは84頭で、年間育成頭数の64.6%が代替えとなっています。

都道府県別 日本の補助犬実働数

 盲導犬、介助犬、聴導犬の順で数字を掲載

6.編集後記

9月1日は「防災の日」。国民が災害に関する認識を深め、対処する心構えを準備する日です。皆様は日頃の備え、確認しましたか。
今年も台風が猛威を振るい、停電や交通機関の停止など各地で大混乱が起きました。自然災害はいつどこで発生するか分かりませんので、いざという時の避難場所や非常時に持ち出す品、防災グッズなどをしっかり確認しておきましょう。