『盲導犬情報』 第17号 〜認定NPO法人全国盲導犬施設連合会 情報誌〜

盲導犬情報 第17号


今号の内容

  1. 国際盲導犬セミナー inクロアチア
  2. 全盲ろうの盲導犬ユーザーが誕生
  3. 関西盲導犬協会新犬舎〜木香テラスの取り組み〜
  4. 盲導犬の排泄について ワンツーベルトの紹介
  5. 盲導犬ユーザーのコーナー 『盲導犬ユーザーとなって』田中政英 盲導犬バルド
  6. 盲導犬情報ボックス
  7. 日本の盲導犬実働数
  8. 編集後記


1.国際盲導犬セミナー inクロアチア

  2016年5月20日から3日間にかけて、国際盲導犬連盟セミナーがクロアチア共和国で開催されました。2年に1度開催されるこのセミナーでは、世界各国から育成事業の関係者が集まり、研究成果の発表を行っています。
  世界の盲導犬協会では、盲導犬育成事業に対してどのような研究がされているのでしょうか。日本からの参加者の一人である関西盲導犬協会の柳澤訓練士の参加レポートで、皆様へご紹介します。

2016年IGDFセミナー参加 関西盲導犬協会:柳澤 嘉紀
  今回のセミナーは全体を通して、過去の盲導犬の貴重な映像や文献を交えた盲導犬の最初の100年という内容の歴史に始まり、その後のセッションでは近代機器を使った今までにない新しい取り組みを紹介するようなものが印象に残り、今までと、これからをこの3日間で実感できるような流れが面白くまとまっていたと思いました。
  中でも特に印象に残ったものについて、まとめと所感を書きたいと思います。

 崢稠齢の対象者への盲導犬貸与について」
発表協会:Guide Dogs Victoria, Australia
  この協会では20年以上、低年齢層に向けた盲導犬の貸与プログラムを行っています。このプログラムにおいて20年間で盲導犬が不必要、と判断され戻ってきた犬は1頭だけとのことでした。
  今回、ある男性貸与者の紹介がありましたが、驚いたのがその男性貸与者と犬との関わり方です。貸与プログラムはその男性の13歳から始まり、現在その方は17歳になりました。13歳で犬の排泄などの練習、14歳になると、また別の犬で同じように生活の訓練、学校に通ってみる。15歳では別の学校に通うために、また別の犬を使って短期的に訓練をする。といったように、共同訓練の目的が‘特定の決まった犬’を持つための練習ではないのです。
  その方の環境や心境、周りのコミュニティに合わせて少しずつ訓練を進めて、共同訓練がその犬を持つための練習ではなく、犬を通してその方を成長・自立させていくことが目的であるということに驚きました。この方は、はじめは周りの子供たちにいじめられ、孤立していましたが、犬とかかわることで前向きに能動的になっていったとの報告でした。現在彼は大学への進学を検討中とのことです。
  そこまで深くその人の生活に寄り添い、その人の自立を目指していくということは盲導犬がリハビリの一つの手段であるということを再認識させられ、自分が何をしていくべきなのか考えさせられました。

◆崋屬い垢鮖箸辰織罅璽供爾諒への訓練」
発表協会:The Guide Dogs For The Blind Association,UK
  2009年からイギリスの協会では、車いすを使ったユーザーの方へ向けて、盲導犬との生活を訓練しています。
  まず興味があったのは、こういった2重の仕事をする犬がいるということです。また、それをできる犬はとても数は少ないが、その可能性をパピー時代に見抜いて特別な訓練をしていくと言っていたところです。見てきている頭数と経験の多さを感じました。
  初めてこういった仕事をしている犬がいることを知ったので、単純にすごいといった感想が大きかったです。外では盲導犬のように案内しながら介助犬のように引っ張り、家では介助犬のように靴を脱がせたりドアを閉めたりします。
  当協会でも、チェアーを教えておいてほしい、フェッチができるようにしてほしいなど一部ユーザーの方からの希望があることがあります。正直、盲導犬の作業以外の動作がその人に本当に必要かどうか疑問に思ったことがありましたが、このプレゼンを見て犬の可能性はもっとあるのかもと思いました。これについてはユーザーができること、これは犬ができたほうが便利ではないか?といったその方に合わせたフレキシブルな考えがこれからは必要なのかと感じました。
  しかし、車いすを使った利用者の方にもルートの制限や、車いすの操作能力の高さが必要だったり、保険の加入が必須などの条件が設けられています。利用者に合わせた柔軟な考えをする際にも、きちんと何ができて何ができないのか、あるいは本当は何が必要なのか、単純なオーダーメイドではなく、その方に本当に必要と思えるような情報のとり方や寄り添い方も重要であると感じました。

  その他の協会の発表でも、バーチャルリアリティを用いた盲導犬模擬体験の研究、動物の福祉についての研究や組織論についての内容も面白いものがあり、日々の仕事に加え、普段からの他方面への興味や知識の幅を広げたいと感じました。

2.全盲ろうの盲導犬ユーザーが誕生

  今年3月、日本盲導犬協会から全盲ろうの盲導犬ユーザーが誕生いたしました。全盲ろうの方への盲導犬貸与は、ほぼ例のないケースです。貸与に至るまでの道のりを日本盲導犬協会会報『盲導犬くらぶ第83号」からの転載で、ご紹介します。

日本で唯一全盲ろうのユーザーが誕生
多様化する視覚障がい者のニーズにこたえる協会の取組み
  見えない聞こえない全盲ろうの門川紳一郎さんが、神奈川訓練センターでおよそ4週間の共同訓練を経て、今年3月晴れて盲導犬ユーザーとなりました。全盲ろうの方への盲導犬貸与は、門川さんご本人そして協会、田中真司盲導犬歩行指導員(以下指導員)にとっても大きな挑戦でした。盲導犬取得までの経過を報告します。
*ここでいう「全盲ろう」とは、メガネ等の矯正・補聴器等の調整をしても視聴覚から歩行に必要な情報を取得することが困難な状況をいいます

  門川さんがはじめて協会を訪ねたのは4年前のことでした。盲ろう団体でともに活動していた高橋信行さんが日本盲導犬協会で盲導犬貸与を受けたことを知り、すぐに連絡をしました。聞こえないことに加えて、10数年前から視力が落ちていて、白杖を使って1人で歩くことが次第に難しくなっていました。盲導犬を使って以前のように自由にでかけたいという思いが募り、協会を訪ねたのです。高橋さんは補聴器で調整することで声を聞き取ることができましたが、門川さんの場合まったく聞こえません。このチャレンジを決意させたのは、「自由に歩きたい」という門川さんの強い意思でした。

  今回の共同訓練を担当した田中指導員は、1年前から盲ろうに関する勉強会に参加したり、情報を集めるなどを開始、知識を身につけるのに時間を費やしました。門川さんには盲導犬の歩行理論を事前に知ってもらうため、メール(※)でテキストを送り質疑応答する講義を全10回行いました。
  門川さんの歩行の特徴は、左右の体の揺れが大きいこと。パートナーの犬は〕匹譴紡僂┐蕕譴襦△△訥度体が大きい(大きくて目立つことで周りから注意を払ってもらえるのもメリット)∧盥團據璽垢速め車への反応がよいなどに加え、犬が吠えたりいたずらしたりしても門川さんが気が付かない可能性があるためげ箸涼罎破覆┐突弋瓩垢襪茲Δ弊格でないこと、イい燭困蕕垢襪覆氷ゴ饋瓦強すぎないなど、様々な観点から門川さんにマッチしたベイスが選ばれました。
※メール画面上の文字情報を点字に変換し、点字ピンディスプレイに表示させて指で読み取る

  門川さんは最初ベイスと外を歩いた時、足を踏んでしまいそうでベイスから離れて歩こうとしていました。結果ベイスを引っ張る形となりまっすぐ歩けません。バランスを崩さずベイスに寄り添って歩くこと、門川さんはそこに一番苦労したといいます。
  田中指導員は、指示の言葉がうまくベイスに伝わらない可能性も考え、訓練の段階から声による指示(声符)よりも手の動きによる指示(指符)を優先するようベイスに教えていました。またベイスの肩甲骨を触り、手を地面に向けるしぐさだけでもダウンするなど、声なしでもベイスが指示に従うよう訓練しました。門川さんが歩行中「ライト(右)」と言いながら指で左方向をさす場面がありました。この時ベイスは指で指示された左を選択し進んでいました。
  車、障害物に対する訓練の時間を多くとり、車や自転車が接近した際ベイスがしっかり止まることも徹底しました。アイマスクに加え、ヘッドフォンから雑音を流し周りの音が聞こえない状態を再現した上で訓練士がベイスで歩くなど、門川さんの状況をイメージしながらベイスをカスタマイズしていったのです。

  門川さんは発音は聞き取りにくい部分もありますが話すことができます。「カム」と呼んでベイスに指示が伝わったとき、驚きとともにコミュニケーションがとれるんだという喜びを実感したといいます。わずかな空気の変化でベイスが近づいてくるのを感じます。風や空気の流れ、足裏から伝わる振動や傾斜、わずかに感じる視覚情報などから、車の動きも判断することができます。

  盲ろうではあるけれど、発声によって話すことも可能なため、門川さんからの意思はスムースに伝わってきました。問題は、指導員から意思をどう伝えるかという点でした。共同訓練には通訳者が同行し、指点字で指導員の言葉を伝える方法をとりました。しかし、犬との歩行リズムを崩さないでテンポよく指示を出したり、細かなニュアンスを間違いなく伝えたい時など、指導員が門川さんの手のひらに文字を書いて直接言葉を伝えます。伝えたいことと、実際に伝わったこととのズレをいかになくすかがカギだったといいます。決まった言葉は一文字で簡略化する、背中を触って合図するなど、工夫によってスムースな会話が生まれてきました。
  手のひらに文字を書くとき、対面でも横にならんでも、漢字でも英語でも、また相当な速さで書いても、門川さんはすぐにその意図を読み取ります。文字を書いている途中で「わかりました、次は食堂でミーティングですね」と先を越されてしまうこともしばしば。それ以外にも触手話での会話もこなし、大阪弁で冗談も交えながら会話を広げていく門川さんはまさにバイリンガル。並外れたその能力とパワーに圧倒されました。

  門川さんは今まで白杖をつかって単独で外出をしてきました。苦労を重ね培ったその歩行技術や経験なくして、今回の挑戦はありえなかったといっても過言ではありません。聴覚・視覚以外の感覚をつかって情報を得て周囲の状況を判断するなど、ベイスと歩くのに必要な技術をすでに身に着けていたのです。共同訓練では白杖をつかうか盲導犬をつかうか、その違いを説明するだけで理解が進みました。

  共同訓練の半ばで、自宅のある大阪へ移動し、訓練が実践の場でどのくらい通用するのか、またベイスがどう変化するか確認することにしました。これによって課題をあぶり出し、再び訓練センターへ戻り調整することができます。こうした工夫で、通常と変わらぬ期間で共同訓練を終えることができました。柔軟な共同訓練プログラムとじっくり時間をかけた前準備、そして何といっても門川さんが発する強い思いとバイタリティーがこれを可能にしました。
  大学時代訪れた海外で多くの刺激を受け「こんな自分でも生きていていいんだ」と思うことができたその体験から30年余り。盲ろう者支援に奔走する門川さん。その存在が周囲へ与える影響力の大きさははかりしれません。「今回の挑戦を知った人に、自分もなにかできるかもしれないと新たなインスピレーションを想起させるようなユニットを目指したい」共同訓練開始時に田中指導員が掲げた目標は、想像をはるかに超え今大きな実りを迎えています。
  「自分の力で歩きたい」。そう願う視覚障がいの方の「望む人生」を実現するために、日本盲導犬協会の挑戦は続きます。

3.関西盲導犬協会新犬舎〜木香テラスの取り組み〜

公益財団法人関西盲導犬協会  職員 木戸 八寿子
  およそ2年の構想を経て、今年4月に関西盲導犬協会の新しい犬舎が完成いたしました。亀岡市の自然豊かな景色の中に建つ木造建築で、内装は木材と白を基調にした明るい室内になっています。木のいい香りがすることから、「木香(もっか)テラス」と呼んでいます。
  杉板張りのロビーを通って、広い空間に入ると、室内のおよそ半分の面積に杉の角材が敷かれています。フローリングではなく角材が一本一本連なって敷かれていますので、汚れたらその部分だけ取り換えができるようになっています。ここは人と犬が共に過ごす場所で、犬の行動を制限するような柵はありません。共有スペースと呼んでいて、職員が事務作業をしたり、ボランティアさんが休憩を取ったりするための大きなテーブルと薪ストーブがあり、その傍で数頭の犬がくつろいでいます。
  共有スペースを囲うようにして、ステンレス製のサークルで作られた犬室にも犬たちが1頭ずつ入って過ごしています。犬たちからは人間の姿がよく見え、また人からも犬の様子がよくわかります。人との信頼関係が構築されるまでは犬室で過ごし、その後、日中は共有スペースで過ごします。
  以前の犬舎は1頭ずつの犬室のみで構成されていた為、訓練以外は犬はその部屋で過ごしていました。その為訓練以外の生活面が一辺倒になりやすく、ユーザー宅での生活態度が予想しにくいことがありました。
  この木香テラスは、歩行訓練同様、生活面の訓練も重要だという考えから建てられました。犬がどのような環境に置かれても自らが納得し、落ち着いてその場所にいられるよう、多様な生活環境を作りだし経験させています。犬室に入っていた時と共有スペースにいる時と様子が変わる犬もいるので、ユーザーマッチングの参考にもなります。以前の犬舎よりもぐんと環境が良くなり、人も常にそばにいるので犬たちも落ち着いて過ごしています。そして、土足禁止になったことで犬の足を1頭1頭拭いて上がるようになりました。とても大変ですが、生活訓練の一貫として行っています。習慣は訓練に勝るもので、犬たちのふるまいも以前より良くなっています。これで満足することなく、この木香テラスが私たち職員の手によってよりいいものになるよう、ボランティアさんの力を借りながら質の良い盲導犬育成を目指していきたいと思っています。
皆さまも興味があれば是非この木香テラスにいらしてください。

4.盲導犬の排泄について ワンツーベルトの紹介

  盲導犬を使用されているみなさんにとっては、毎日のことであり当たり前の盲導犬の排泄についてですが、一般の方からは、「盲導犬の排泄はどうやっているの?」「排泄物の処理は一人でできるの?」と質問されることがよくあります。そこで今回の盲導犬情報では、一般の方にはあまり知られていない盲導犬の排泄とワンツーベルトについて、東日本盲導犬協会からご紹介いたします。

盲導犬の排泄とワンツーベルトについて
公益財団法人 東日本盲導犬協会 訓練指導部長 西原 健司
  盲導犬の場合は、「ワンツー、ワンツー」という掛け声で排泄を促しています。パピーの頃からボランティアのご家庭でトイレトレーニングを開始し、訓練期間中にも様々な場所で排泄の経験をさせ、ユーザーがどこでも排泄をさせることができるように訓練を行っています。そのため、盲導犬たちはこの「ワンツー」の掛け声を聞いて排泄をするということを認識しています。
  盲導犬の排泄時に役に立つのがワンツーベルトと呼ばれている物です。使用方法は、このワンツーベルトにビニール袋を着け、犬の腰にベルトを巻きます。ビニール袋が犬の肛門や陰部を覆うように装着しているので、排泄物が出たときに直接ビニール袋の中に落ちるような仕組みになっています。各協会によって呼び名に違いはありますが、ベルトの構造はほとんど似たような作りです。
  盲導犬ユーザーは犬に定期的に排泄の機会を与えており、排泄後の処理もユーザー自身が行っています。犬の排泄リズムは一頭一頭違うので、その犬にあった排泄リズムを把握し、犬に排泄の我慢をさせることのないように配慮をしています。
  盲導犬ユーザーにとって、犬たちの排泄物を拾ったり処理したりすることは、その位置と排泄物の量を把握することができないと難しい場合があります。上手く把握できないと、完全に拾ったり処理したりすることができず、地面を汚してしまうことなどがありました。しかし、各協会が使いやすく漏れにくいワンツーベルトを開発し、今では排泄物の処理が比較的簡単にできるようになり、排泄をさせる上ではとても有効な用具となっています。盲導犬の場合、外出先や宿泊先など、自宅以外の様々な環境で排泄を促すことが多いため、このワンツーベルトを使用することで、どのような環境でも地面を汚すことなく排泄をさせることができます(尿の処理においては、凝固剤や猫砂をビニール袋に入れ、固めて処理する方法があります)。また、犬の排泄管理は、社会に対するマナーの問題だけでなく、犬の健康状態を知るうえでもとても重要です。盲導犬ユーザーは袋に入った排泄物の量や硬さ、においなどを毎回確認し、常に犬の健康管理に気を付けているのです。

5.盲導犬ユーザーのコーナー

「盲導犬ユーザーとなって」田中政英 盲導犬 バルド
  私が失明に至るけがをしたのは20歳の時でした。
  その後、長期の入院治療をしましたが回復に至らず、盲学校に入学しました。盲学校では点字を習いながら、独学での日常生活をこなし、学友から歩行の簡単な訓練をして貰っただけで、単独での白杖歩行は苦手でした。そんな私も何とか卒業、就職へと進む事が出来ましたが、白杖歩行による15分、距離にして1000m程度の、自宅からの通勤が限度でした。
  私が30〜40歳の頃に、何度か盲導犬を持ってみませんかと、お誘いがありました。私は田舎育ちで、子供の頃には、犬猫を始め、鶏・兎・山羊・牛等も実家に飼われていて、動物への苦手意識はありません。しかしユーザーになる為には、1か月間の合宿訓練や室内飼育等が必須との事で、その頃の私の仕事や住宅事情の関係で、あきらめざるを得ませんでした。そして、歩行能力も特段の進化無く、このままで良いのかと言う不安を抱えながらも、日々を過ごしていました。
  定年が近づき、このままではいけないと心を切り替え、退職後の第2の人生設計として、盲導犬ユーザーをめざしました。諸手続きを得て、私の場合は、通所と自宅での訓練をして頂きました。
  そしてユーザーとなり、バルドとの生活が始まり約8か月経ちましたが、何より生活が規則正しくなり、安きに流れる私の性格を整えてくれました。そして、盲導犬は決してペットではありませんが、バルドとの共同生活が始まってからは、家の中がほのぼのとする様になりました。
  私の住んでいる尼崎市は道路事情が劣悪で、取って付けた歩道や、尻切れトンボの歩道、歩道の中程に堂々と立てられている電柱、障害物も数多く存在します。バルドと歩いていてもどうしても通り抜けられない事も時にありますが、そんな時、近くを歩いておられる人が声をかけて下さったり、邪魔になっている障害物を除いて、通して頂いたりする事があります。盲導犬ユーザーになる前の単独で白杖歩行をしている頃には、こんな経験はほとんどありませんでした。
  私は、時に家人にガイドをしてもらい歩行する事がありますが、家人に聞くとその時もバルドはしっかりと私たちの足元を見て、歩行速度を合わせているそうです。そんな時、すれ違う人々がバルドに気が付くと、ほとんどの人が笑顔に変わり、何らかのお声がけをされる事も多くあります。ただ、困る事としては、道路状況の関係でペット犬の散歩コースと重なってしまい、よく遭遇して、怖がられたり、吠えられたりしますが、近頃は何とか回避出来る様になりました。今は早朝20分、夕方40分程度のバルドとの歩行や、近くのコンビニでの買い物が出来る程度ですが、徐々に行動範囲が広がればと頑張っています。
  最後になりましたが、バルドは無論の事、この素晴らしい盲導犬育成に関わられた全ての施設や関係者の方に対して、大いなる感謝を捧げたいと思います。そして益々盲導犬育成事業が発展し、日本の盲導犬頭数が増えて、盲導犬とそのユーザー同士の遭遇が当たり前になる様な社会になる事を希望します。

6.盲導犬情報ボックス

○都道府県別 日本の盲導犬実働数
 2016年 3月31日現在の日本の盲導犬実働数は、次のようになりました。「社会福祉法人日本盲人社会福祉施設協議会 自立支援施設部会盲導犬委員会 2015年度盲導犬訓練施設年次報告書」より。
 2016年 3月末現在、全国の盲導犬実働数は、966頭です。
  また、盲導犬実働数966頭に、1頭の盲導犬を夫婦二人で使用するタンデム方式の盲導犬使用者22組を加え、盲導犬使用者数を算出してみると、日本国内で盲導犬を使用している視覚障害者の方は 988人です。
  1頭の盲導犬を夫婦2人で使用するタンデム方式により、実働数と使用者数に違いがある地域は、カッコで横に使用者数を併記しました。

北海道 55
青森県 5
岩手県 12
宮城県 20(21)
秋田県 14
山形県 7
福島県 14
茨城県 25
栃木県 13
群馬県 7
埼玉県 47
千葉県 31
東京都 99(100)
神奈川県 59
新潟県 34
富山県 6
石川県 21
福井県 5
山梨県 19(20)
長野県 20(21)
静岡県 48
愛知県 35(36)
岐阜県 7
三重県 13
滋賀県 12(13)
京都府 18
大阪府 61(63)
兵庫県 44(47)
奈良県 14
和歌山県 4(5)
鳥取県 4 (5)
島根県 13(14)
岡山県 16
広島県 32 (35)
山口県 14(15)
徳島県 3
香川県 7
愛媛県 11
高知県 9
福岡県 22(23)
佐賀県 5
長崎県 4
熊本県 9
大分県 14
宮崎県 11(12)
鹿児島県 18(20)
沖縄県 5
合計 966頭(タンデム含む使用者数は988人)

 なお、タンデム使用者を地域別にみると、
都道府県別では、兵庫県・広島県に各3組、大阪府・鹿児島県に各2組の他、宮城県、東京都、山梨県、長野県、愛知県、滋賀県、和歌山県、鳥取県、島根県、山口県、福岡県、宮崎県に各1組おられます。

  国内の指定法人が1年間に育成した盲導犬の頭数は 140頭。うち新規の使用者のパートナーとなった盲導犬は53頭、代替えは87頭で、年間育成頭数の62.1%が代替えとなっています。

7.編集後記

  今号は、盲導犬協会からの記事が盛りだくさんの内容となりました。関西盲導犬協会の木香テラスは、犬も人も快適に過ごせる工夫が満載で、とても気持ち良さそうです。いつか見学に行ってみたいものですね。